適応可能なシステムと曖昧性

一般的にシステムを設計・作成するときは、システムの安全性を優先し、曖昧な仕様を排除します。しかし、これはシステムを環境変化に応じて対応可能、つまり適応可能adaptable にするには向いてません。

一つの解が、仕様における外部環境とのインタフェースに曖昧さを「定義」することです。定義するということは、曖昧さ解消手続きも同時に設計する必要があります。

もちろん、インタフェースレベルでの適応可能性では不十分であること明らかで、システム自身の変身transformationも考慮する必要があります。従来のシステムでは、一つの対処法としてscrap and buidというアプローチもありましたが、システムを容易に廃棄できない場合、システム自身が可塑性を持たなければなりません。

自然言語システムでは、興味深いことに、根本の部分(文法?)は変化することなく、外部環境変化に関しては文法的例外と語義の曖昧さで対応している。言語というシステムの進化における優れた賜物といえます。

追記:自然言語処理システムでは、自然言語が内在的にもつ統計的安定性(『言語とフラクタル 使用の集積の中にある偶然と必然』田中久美著)に設計の堅牢性を期待しますが、依然残る曖昧さの部分を、自然言語処理における邪魔のものとは捉えず、自ら成長するシステムの駆動力と捉える立場を当社は取っています。

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